2016年1月10日日曜日

「小さな家」 ル・コルビュジエ著

「小さな家」 ル・コルビュジエ著
何年かに一度、思い出したように手に取る好きな本だ。たった80ページ、薄くて小さな本。

建築家コルビュジエが、両親のために、スイスの湖の畔に立てた小さな平屋について書いたもの。
この家、美しい湖の畔という立地にもかかわらず、湖が見えないように壁で囲われている。なぜなのか。僕が最初にこの本を読んで感銘を受けたのはそのことについて書かれた部分だった。
この囲壁の存在理由は、視界を閉ざすためである。四方八方に蔓延する景色というものは圧倒的で、焦点を欠き、長い間にはかえって退屈なものになってします。このような状況では、もはや景色を眺めることは出来ないのではないだろうか。景色を望むにはむしろそれを限定しなければならない。
囲われた庭を形成すること。この小さな庭は室内空間に匹敵し、もう一つの緑あふれる居間となる。
この家は、1924年竣工だから、本の中の写真は全て白黒。
そして、この本が出版されたのはそれから30年以上経ってからだ。
竣工から20年経ってコルビュジエが描いたこの家のデッサンも多数載っている。
コルビュジエのこの家への思い出と愛情がこもったすばらしい本。

2016年1月5日火曜日

「妻を殺したかった男」 パトリシア・ハイスミス著

「妻を殺したかった男」 パトリシア・ハイスミス著

ハイスミス二作目の長編で、60年も前に書かれた作品。これほど優れた作品でも、とっくに絶版、古本で手に入れるしかない。残念なことだ。

冒頭、ある男が、妻を計画的に惨殺する。
そこから、裕福な弁護士夫婦の話へ。上品でゆとりのある友人たちに囲まれてパーティ開き合ったりして楽しくやっている。表面上は。けれど、弁護士の妻はかなり性格に問題有り、妻の態度のせいで離れていった友人も何人もいたりで、妻に離婚を切り出すまでに気持ちは離れている。
そんななかで、弁護士の男に信じられない出来事が起こる。

原題は「THE BLUNDERER」 失敗する人
この弁護士、間抜けなのだ。殺意を抱くほどの妻にたいしてもはっきりとした態度をとらない、ズルいとも言えるような煮え切らない男。
そして、不意打ちのように身に降りかかってきた事件で、軽薄としか言えないような間違いを重ねて、苦しい立場に追い込まれていく。
親友が忠告する。
「小出しにしないで、すべて打ち明けたほうがいい」
そのタイミングを逸してしまった、失敗する人。

パトリシア・ハイスミスの作品はどれも、細部にまでまったくスキがない。追い詰められた者の心理、心の揺れ、最後へと進むことになる案外小さなきっかけ。すべてが圧巻だ。胸が締め付けられるような読後感を味わえる。

2016年1月4日月曜日

映画 「ふるえて眠れ」

「ふるえて眠れ」 1964年 アメリカ モノクロ

去年、あまりの凄さに驚いた傑作「何がジェーンに起こったか」と同じ、ロバート・アルドリッチ監督とベティ・デイビスのコンビ。
こちらも、とにかく面白い。133分とかなり長いけど、まったくダレない。
古い館に住む老女の過去が明かされていくというのは「何がジェーンに・・・」と同じ設定だ。
この「ふるえて眠れ」の方が、より謎解きの要素を強くした感じ。その謎解きのところで、後で矛盾と感じてしまう思わせぶりな表情とか、ちょっと無理ないか、みたいなB級ホラー的な部分があって、少々マイナスだと思うけど、まぁ、これだけ面白きゃちっちゃな事と許せちゃう。ベティ・デイビスの演技は凄いのひと言。抑えのきいたラストも好きだ。

2016年1月2日土曜日

ゴルフの初打ち。初読み東野圭吾著「変身」

ゴルフの初打ち。毎年正月休み中はとても混むから、早い時間に行く。三箇日は景品のくじ引きがあって、今年はインスタントラーメン5個パック。確か去年もこれだったな。隣の兄ちゃんはカップラーメン1個みたいだったから、良しとしよう。
今年はなんとか、大きくハンディ縮めたい。これが一番の望みかな。

午後は読書。正月用に読まないままになっている中から、これがかなり大量にあるんだけど、何作か出しといた中の、一番早く読めそうな東野圭吾著「変身」
買ったことすら忘れていた。もう、紙がまっ黄。
すっごい面白いかって言うとそこまでじゃないけど、でもさすが読ませます。快調に読み進んで、3時間で読了。380ページくらいだから、良いペースだ。面白いって証拠。アメリカの女優の誰かに似てる、そうだ、ジャクリーン・ビセットだって、古いなぁ。

今年の映画一本目 「やさしい本泥棒」

元日、今年の映画一本目に観たのは「やさしい本泥棒」
封を切らずにたまっている何本かのDVDの中から、晴れやかな元旦だし幸せな気持ちになれそうなのがいいかなと、タイトルでチョイス。

これ、とっても良い映画だ。ゆったりと静かで幸せな終わりは観たあとの気持ちを穏やかにしてくれる。
でも、中身はというと、とっても悲しい物語。
ナチス占領下のドイツの田舎町が舞台。第二次世界大戦が始まる少し前に、里子として中年夫婦の家にやってきた少女が主人公。学校へ行っていなかったんだろう、自分の名前も書けない。一冊の本を大事に胸に抱えて眠る。それは、死んでしまった弟を埋葬した時に墓堀人が落としていったものだ。ある夜、義父は、少女がベッドで抱えている本を見て驚く。
何の本か知っているのか?
知らない。
義父は、その、墓掘り人のマニュアル本を一緒に読みながら、少女に読み書きを教えていく。
優しい人たちに囲まれて少女はたくましく生きていく。
しかし、そんな生活も長くは続かない。時代に翻弄されてしまう。

僕は、こんな物語を見るとつくづく思う。
人は、いつ、どこに生まれるかで決まってしまうものだな。
自分が、今ここに居る偶然。不思議。幸せ。不幸。



2015年12月18日金曜日

旨い熱燗を飲みたければこれだ。「熱燗酒 緑川正宗 ミドリカワマサムネ」

「熱燗酒 緑川正宗 ミドリカワマサムネ」

その名の通り、燗してこその酒。旨い熱燗を飲みたければこれだ。愛飲する酒のひとつ。
ぬる燗や上燗じゃ足りない。徳利持ったらアッチッチくらいの燗でもオッケー。温度が上がるほど旨味が増してくる。米の旨味と甘味が程よく立ってきて、アル添酒の尖った感じがまったく出ない。
色はほぼ無色で、透明の瓶っていうのもいい雰囲気だ。




2015年12月15日火曜日

「ボーモア 15年」

スコッチ 「ボーモア 15年」


12年は一番減りの早いお気に入り。
なのに、15年は飲んだことなくて。なんでかっていったらお金の問題で、お金の問題っていっても、別に買えないわけじゃないから、要は、ぼくのみみっちさの問題だ。
いつもの酒屋に行ったら12年が切れてて、15年だけあって、こんな田舎の小さな酒屋でボウモア好きな人いるんだなぁなんて、ちょっと嬉しい気持ちになって、15年を買ってみたって訳。
で、飲んだ感想は、、、、まろやか過ぎる。僕には高級過ぎるって感じ。
ボウモアの、煙たいような、ツンとしたインクの香りが好きなんだよ。3年の月日が、あのツンをまろやかにしちまっている。物足りない。寂しい。
僕は、安上がりにできている。エコな男だ。