2016年3月10日木曜日

「ボウモア12年」と「ボウモア スモールバッチ」

愛飲の「ボウモア12年」が切れていたんで、「ボウモア スモールバッチ」と合せて購入。
「ボウモア スモールバッチ」ってのがあるのは知らなかった。バーボン樽で熟成させたものだそうだ。
 いつもの「ボウモア12年」

 これが「ボウモア スモールバッチ」

右が「12年」、左が「スモールバッチ」

まず、色が違う。実際はこの写真より違うくらいで、スモールバッチのほうが薄い。
よく見ると量も違う。「スモールバッチ」のほうが少ない。

で、肝心の味。だいぶ違う。
ボウモアといえば、煙のような、ヨードのような、僕に言わせてもらえば万年筆のインクの匂いで、これがたまらなく良いのだけれど、「スモールバッチ」はこのインク臭は弱くて、代わりに甘酸っぱい香りが感じられる。色の印象と合っている。よく言われる青りんごってやつか。僕にはよく解らないけれど。
ウイスキーをグラスに注いだ後、ボトルの口から少しビンつたいにたれたのを手のひらに採ってこすり合わせて匂いを嗅ぐんだけど、そうすると、「スモールバッチ」も大好きなインク臭はしっかりとする。
値段は、ちょっとだけ、スモールバッチがお高い。




2016年3月1日火曜日

「涼暖 生 緑川」 燗でも美味しく飲める生酒

暖冬だと喜んでいたのに、それは寒いのがいやな僕のことだけじゃなくて、ゴルフ場で出会ったバンビもこれなら冬を越せただろうなんていう気持ちもあってなんだけど、3月近くになって、毎日寒い。朝は外の水道が凍って出ない。
ユニクロのヒートテックのモモヒキも再びの活躍だ。
今朝は、薄っすらと雪景色。

こんな陽気だと、ただでさえ燗酒好きの僕は、夕方になるともう仕事終わりにしてイッパイやろかなって誘惑と闘いながら結局、こんな気持じゃろくな仕事出来ないなと自分に言い聞かせて早めに仕事は終わりにして、、、、となる。

今晩は、「涼暖 生 緑川」



緑川酒造が新しく出した酒。
裏ラベルにあるように ”燗でも美味しく飲める生酒”に惹かれて飲んでみた。
感想は、
旨い。でも、燗ならずっと前からある「緑川 正宗」のほうがいい、だ。
とはいっても、スッキリとしながら、水のごとしになり過ぎない緑川らしい酒で、めずらしく一升瓶で買ったんだけど、あと何日か楽しめるのが嬉しいし、ラベルが凝っているのも嬉しい。
渋く金ピカのお月さんに、地に凹凸がついている。こういう印刷何て言うだろう。

僕にとっては、ラベルも大事な要素だ。


2016年2月17日水曜日

「ハイランド パーク 12年」

「ハイランド パーク 12年」


お気に入りの一本だ。
僕は、これを加水して飲むのが好きだ。
加水といっても水のほうが多いなんてのはダメで、ウイスキー:水=2:1位か。
普段、アイラ島のモルトを好む者にとっては、ストレートだと、わりと普通のアイラ島以外のモルトっていう印象なんだけど、加水することによって、なんとも程良い甘みが表立ってくるのだ。程良いというより、むしろ強いくらいなんだけど、まったくクドくなく、ツマミも無しに何杯もいっちゃう。
箱の形が変わっていて、上から見ると樽型で、コルクの栓もちょっと立派なんていうのも嬉しいもの。値段もお安め。無くなりそうになったら補充する一本。

2016年1月21日木曜日

5つ星映画 「モールス」

「モールス」 2010年 米

これは優れた映画。ヴァンパイア=吸血鬼の悲しい物語。
ヴァンパイアを演じているクロエ・モレッツがとにかくすばらしい。ヴァンパイアの残酷さ、悲しみ、そしてエロス。11~12才でそれを完璧に表現している。才能とはこういうものなんだと思う。
吸血鬼は、人の生き血を吸い、自身は永遠に生き続ける不死の存在だ。永遠の時間を背負うということ、それ以上の悲しみがあるだろうか。この映画は、その悲しみを見事に描いている。

タイトルの「モールス」とはモールス信号のモールスで、、ヴァンパイアに恋した少年が幸せそうにモールス信号をたたくラストシーンは、観る者を悲しみの底に突き落とす。


映画がすばらしくて、原作の小説も読んだ。上、下二巻の長いものだけど、こちらもおもしろくて一日で読了。原作のタイトルは「正しきものを入れよ」という意味だそうだが、内容から確かに「モールス」ではないな。
原作と映画が違うのは当たり前だけれど、ヴァンパイアの見せかけ上の父親の描かれ方の違いには少々驚いた。映画ではこの父親が、やがてあの心に残るラストシーンに繋がるわけで、原作ではラストシーンの意味合いが大きく違う。
原作の映画化は原作が良いからされるわけで原作を超えるのは難しいものだと思うけど、これは原作以上だ。

2016年1月15日金曜日

「熱燗酒 緑川 正宗」

「熱燗酒 緑川 正宗」

最高の燗酒。今のところ、これ以上の燗酒は知らない。

元旦、今年最初の酒もこれ。暮れに用意しといた。最初はこれだと。
名前に熱燗酒と付いているように、温度を上げるとなんとも芳醇な香りと味が増してくる。
常温でも美味しいけれど、いつもの新潟の酒って感じでおもしろくない。どうしても、温めて飲みたい酒だ。熱燗 緑川 正宗、作り手の意図と自信が感じられる。
この酒は仕込みにもち米が使われている。だいたい、餅は温かく食べるものだ。焼いたり、雑煮にしたり、つきたてを大根おろしで食べたり。
熱いくらいの燗にすると、あの温かいもち米の旨味が、ほんのりと、しっかりと、けっしてくどくなく、蘇ってくる。

2016年1月14日木曜日

「アードベッグ 10年」 羊の皮を被った狼のような羊。

仕事快調にはかどった。集中してよく働いたっていう満足感に満たされて、明るいうちからまったく後ろめたさもなくイッパイ。
そんな時間だとツマミいらずのアルコールってことに自然となる。
「アードベッグ 10年」



僕の圧倒的に消費量の多い、アイラ島のシングルモルト。
その中でも、アイラ特有の煙臭が強烈な銘柄だ。
そんな個性的な香りとうらはらに、グラスに注ぐと色は極々薄い琥珀色。これほど薄い色のウイスキーは少ない。羊の皮を被った狼ッて感じだ。
で、味の方は、さっきも言ったように、アイラの中でも強い香りがくるんだけど、いっしょに甘さも強く感じられる。その甘さがくせ者。
こいつをどう表現したらいいんだろう。不味いのに旨い、これはぜんぜん違う。臭いのにいい匂い、これもぜんぜん違う。
とにかく、羊の皮を被った狼のような羊。
飲み過ぎに注意。

2016年1月12日火曜日

「おれの中の殺し屋」 ジム・トンプソン著

「おれの中の殺し屋」 ジム・トンプソン著

強烈な犯罪小説。
そもそも人間に何がわかる?俺たちが住んでいるのはひどくおかしな世界なんだよ。悪党たちが俺たちにもっと金が入るよう願っていて、善人たちがそうならないよう妨害している。おれたちのためにならないからって。
食いたいものが食いたいだけ手に入ったら、俺たちは山ほど糞をすることになってしまうからだ。そうなったらトイレットペーパー業界は大インフレだ。おれの理解するところでは、そういうことが議論されているようだ。
おれが女を殺したんだよ。二人とも殺した。 
奴らには殺される理由はなかった。だけど、おれの方には殺したい理由があった。 

 こんなのがアメリカでは60年以上前に書かれていたという事実に驚かされる。
ずいぶん本はよんだけれど、ここが見せ場という所にくると作者は必ず頭に血が上ってしまうようだ。やみくもに言葉を羅列して、瞬く星が深い夢のない海に沈んでいくなどという戯言を並べだす。
人がものに張るレッテルは、人がどこに立ち、物がどこに置かれているかによってどうにもなるものだって見るようになったんだ。”雑草とは場違いの場所に生えた植物のことである”タチアオイがトウモロコシ畑に生えていたら雑草、庭に生えていたらそれはきれいな花だ。
これで終わりだと思う。おれたちみたいな奴らにも次の場所でチャンスが与えられるなら別だが。おれたちみたいな奴ら。おれたち人間に。