「モールス」 2010年 米
これは優れた映画。ヴァンパイア=吸血鬼の悲しい物語。
ヴァンパイアを演じているクロエ・モレッツがとにかくすばらしい。ヴァンパイアの残酷さ、悲しみ、そしてエロス。11~12才でそれを完璧に表現している。才能とはこういうものなんだと思う。
吸血鬼は、人の生き血を吸い、自身は永遠に生き続ける不死の存在だ。永遠の時間を背負うということ、それ以上の悲しみがあるだろうか。この映画は、その悲しみを見事に描いている。
タイトルの「モールス」とはモールス信号のモールスで、、ヴァンパイアに恋した少年が幸せそうにモールス信号をたたくラストシーンは、観る者を悲しみの底に突き落とす。
映画がすばらしくて、原作の小説も読んだ。上、下二巻の長いものだけど、こちらもおもしろくて一日で読了。原作のタイトルは「正しきものを入れよ」という意味だそうだが、内容から確かに「モールス」ではないな。
原作と映画が違うのは当たり前だけれど、ヴァンパイアの見せかけ上の父親の描かれ方の違いには少々驚いた。映画ではこの父親が、やがてあの心に残るラストシーンに繋がるわけで、原作ではラストシーンの意味合いが大きく違う。
原作の映画化は原作が良いからされるわけで原作を超えるのは難しいものだと思うけど、これは原作以上だ。
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